本特集の内容
第1回 リモートワークでも開発クオリティを落とさない
第2回 DXで効率の高い治具を導入する
第3回 スペースと在庫管理にともなうコストを最小限に
第4回 市場投入期間短縮のためのDX
【特集：製造に、改革を。①】
Withコロナの時代、製造業は大きな転換点を迎えている。開発、試作、最終試作、最終製品の生産のすべての工程において、「人がつながれない」現実が突き付けられている。 高性能・高再現性を実現する工業グレードの3Dプリンタと関連するクラウドアプリケーションは、これらの問題の救いのひとつとなることが期待されている。ここでは、それぞれの課題と、それに対するソリューションを紹介していきたい。
ソリューションとしての「自立した」3Dプリンタ
Withコロナの現在、リモートワークへのシフトが起こっている。おそらくAfterコロナの時代になっても、リモートワークを選択する社員は多く存在するだろう。
たとえばそれが製品開発部門だったらどうだろうか。これまでは設計者がコンセプトから製品を発想し、形に落とし込み、業者に頼んで数週間後に出来上がったサンプルを見ながら、関係者が一つの机を囲み、「ああでもない、こうでもない」と活発なディスカッションをしていたかもしれない。
Withコロナの時代はどうだろうか。一部の社員は出社しているものの、全員はそろわないという会社も多いだろう。なので実際に製品のモックアップを見られるのは出社しているメンバーだけ。ネット会議でスクリーン越しに見せられても、詳細な作り込みや色や形の細かな具合はわからないというのがリモート会議で参加するメンバーの本音かもしれない。「良いですね」が「良さそうですね」に変わる瞬間だ。
問題は、顧客の目は「コロナだから」という理由で製品デザインの品質が落ちることを決して許してくれないことだ。開発レビューが中途半端なまま量産に進み、顧客の期待を満足させることができずに、大量の在庫を抱えることになったら目も当てられない。
ではここに3Dプリンタを入れてみたらどうなるだろうか。3D造形自体は内製でも外注でも構わないが、内製にしておけば製品の機密性は保たれる。また、造形を外注するときに発生する見積もり、発注、納品といった工程を省くこともできるので効率的だ。
ここでリモートメンバーの人数分もプラスして一度に3Dプリントし、会議の前に各社員の自宅に送付する。会議を午後に設定し、受け取りを午前中にするなどの工夫をすれば、ネット会議の時にはほぼ全員がほぼ同じ条件でモックアップに対して意見を述べることができる環境が確保される。1回だけの会議ならコスト高に感じるかもしれないが、同じような会議がたくさん行われるなら、当然導入検討の余地が出てくるだろう。
この時、3Dプリンタの質も大きな問題となる。3Dプリンタの造形時に人がベッタリ張り付いていないと造形が失敗するとか、出来上がったパーツモデルがどれも違ったように仕上がっているとか、3D CADデータを3Dプリンタに挿入するためだけに出社する必要があるようでは話にならない。今必要なのは、可能な限り人が寄り添わなくて済む、「自立した3Dプリンタ」だ。そして、一度のアクションで全く同じものを作り出せる高い再現性と、可能な限りのリモートアクセスが可能な利便性だ。そして3D CADフォーマットから3Dプリンタへ直接データを送ることができたら、3D CADを利用する設計者にも満足度が高くなるだろう。
3D CADデータレビューを可能にするプラットフォーム
3D CADデータといえば、ソフトウェアも高いのでライセンスを持っているメンバーは限られるし、専門性も高いから正直全員が持っている必要もない。でも画面上でデザインや機能性のチェックをするために、開発メンバーがやはり同じモニターを見ながら「あーだこーだ」と言っていたシーンも多かっただろう。
Withコロナの時代、確かにネット会議なら3D CADデータのレビューをみんなで行えるかもしれない。でも3D CADデータの詳細をもっと見たいというニーズが実は発生しているかもしれない。そして非常にメモリを食う3D CADソフトのせいでリモートメンバーは同じスピードで3D CADデータを確認できていないかもしれない。これも「いいですね」が「良さそうですね」に変わる瞬間を生む。
ではクラウド上のプラットフォームで軽いデータで3D CADデータがレビューできたらどうだろう。それぞれがセキュリティが確保されたプロジェクトにログインし、デザイナーがあらかじめ上げておいたデータを思う存分動かしながら確認する。Aさんが気づかないことをBさんが気づく。そしてモックアップ製作前のデータがブラッシュアップされていく。モックアップ製作前に気づくことが多ければ多いほど、当然素晴らしい完成品へのゴールが近くなる。
しかしながらよくあるクラウド上のデータ管理のように、「間違って消しちゃった」とか「上書きする気なかったのに保存されちゃった」とかの手違いで元々のデータがおじゃんになってしまっては元も子もない。データを更新できるのは作った本人のみという安全性の確保も必要だ。
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生体適合性・滅菌：米国認証
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